便秘には慢性的な便秘と、急性の便秘とがあります。急性便秘は、ふつう一時的な場合が多いため、特に長期的な食事対策を考える必要はありません。
慢性便秘は多くの場合、大腸の緊張や運動性が弱まって、排便がとどこおるために起こります。消化しやすく残渣の少ない食物ばかりをとり続けていると、腸の粘膜が刺激されずに排便が起こりにくくなり、慢性便秘の原因となります。
大腸壁を刺激して大蠕動を起こさせ、便通を正常に戻すためには、毎日18〜20gほどの食物繊維質をとることが必要です。食物中の繊維は、人間の体の中ではほとんど消化されることがありません。また繊維は、水を含む性質が大変に強いため消化管の中で水分を吸ってふくらみ、腸の蠕動を促進させます。
繊維質を多く含む食品としては、野菜類、果実類、いも類、穀類、海そう類などがあげられます。食物繊維とよんでいるのは、植物細胞の壁をつくるセルロースなどの物質の総称です。また、食品成分表にはありませんがジャムを固めるペクチンや、こんにゃく中に含まれるマンナンなども、繊維の一種と考えることができます。
また規則正しい便通をつけるためには、このほか朝食を多めにとって大腸の運動を促したり、食事のときに冷たい牛乳を飲んで便通を起こさせるなどの工夫が効果的です。
(下図の食物繊維量は「四訂日本食品標準成分表」に基づく)
便秘予防の献立を考える上でのポイントは、大腸の運動を活発にする繊維質や脂肪の摂取をもとにして、食品を選ぶことにあります。しかし同時に体調を最良の状態に保つことが大切ですから、栄養バランスのとれた幅広い食品構成を考えなくてはなりません。また、食事の中味もさることながら、規則正しい便通を得るためには、食事の時間や量を一定に保つことも必要です。そのほか食品の中には、特に便秘の改善に有効なもののあることが、古くから知られています。これらの特性を、上手に献立に取り入れることも、便秘の予防に役立つでしょう。
・乳製品(牛乳・ヨーグルト)
日本人の中には、体質的に乳製品を消化しきれず、下痢や便通を引き起こす人もいる
このような人には、緩下剤としての効果がある
・油脂類(バター・ごま油)
脂肪は腸内容物の通過をスムーズにすると同時に、脂肪酸が腸粘膜を刺激し、排便を促す
・炭酸飲料・ビール
催便作用がある
・酢酸・クエン酸・リンゴ酸・酒石酸
大腸の蠕動を促す
・糖分(はちみつ・砂糖・水あめ)
腸内で発酵しやすく、大腸の蠕動を促す
・香辛料(からし・わさび・カレー粉)
大腸を刺激する
・その他(小豆・イチジク・寒天)
緩下剤としての作用があり、昔から便秘に薬効のあることが知られている
・しぶ柿・赤ぶどう酒
多量のタンニンを含む。下痢を止めるくすりとしても使用される
・肉類にかたよった食事
大部分が吸収されるため、便の量が減少し、大腸の蠕動運動が弱くなる
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