医薬品事業と在宅医療事業のシナジーを追求

研究開発の特長

研究開発における相互関係図

帝人ファーマは患者の皆様のQOL向上を目指し、帝人グループの持つ繊維・高機能化学材料メーカーとしての技術基盤やグループIT企業の最先端テクノロジーを活かして、画期的な製品を数多く市場に提供しています。

研究開発の上で大きな特長となっているのが、医薬品事業と在宅医療事業の2つのアウトプット先を持つことです。一つの疾患領域に対して、医薬品と在宅医療の両面からアプローチすることで、患者の皆様のQOLを効果的に高めることが可能になるのです。

たとえば、呼吸器系領域における喘息治療薬オルベスコ®と喘息テレメディスン(遠隔医療)システム。骨・関節系領域においては、ボナロン®、ワンアルファ®に代表される骨粗しょう症(こつそしょうしょう)治療薬の基準薬に加えて難治性骨折治療のためのセーフス®など、医薬品と在宅医療のトータルヘルスケアの提供を目指した研究開発が続けられています。

新たな用途を築いたワンアルファ®

帝人ファーマが骨・関節系領域に参入するきっかけとなったワンアルファ®は、活性型ビタミンD3製剤であり、当初は腎不全の患者の皆様でのカルシウム代謝の改善を目的として自社開発した医薬品でした。その後、骨の量を計測する技術を帝人グループが開発したことにより、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)の患者の皆様でのカルシウム代謝の改善と骨密度(こつみつど)減少の抑制ならびに骨折予防効果が認められ、現在では骨粗しょう症(こつそしょうしょう)治療薬としても広く認知されるようになりました。

難病に挑んだベニロン®の開発

静注用人免疫(じょうちゅうようひとめんえき)グロブリン製剤であるベニロン®は、帝人ファーマが財団法人化学及血清療法研究所との共同開発で製品化した血漿分画製剤(けっしょうぶんかくせいざい)です。重症感染症や川崎病、ギラン・バレー症候群といった難病患者の皆様に投与されるこの血液製剤は、ウイルスの不活化・除去処理など独自の精製方法の開発により、各種ウイルスに対する安全対策を講じています。免疫グロブリン製剤に関しては、今も他の疾患に向けた治験を続けています。

開発実績とビジョン

代表的な開発実績

医薬品事業 新領域での成功 

帝人ファーマは、十分な治癒方法が確立されていない領域に挑み、そこに新薬の開発や導入品の提供でプレゼンス(影響力)を高めてきました。まず、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)という治療薬の存在しなかった領域に、ワンアルファ®やボナロン®といった製品を提供。その後、1990年代では代謝・循環器系領域において画期的な新薬の開発に挑戦。新規痛風治療薬TMX-67(一般名:フェブキソスタット)をはじめとして、現在のパイプラインを築いてきました。

在宅医療事業 HOT(ホット)のリーディングカンパニー

これまで帝人ファーマは、慢性呼吸不全や慢性心不全の患者の皆様のQOL向上に向けて、マイルドサンソ®やハイサンソ®シリーズに代表される画期的な製品開発と、それによる治療システムの普及を牽引してきました。現在も、基本機能に加え、小型・軽量化、省電力化、静音化、操作性の向上などを追求。在宅酸素療法(HOT(ホット))におけるリーディングカンパニーに期待される、より優れた製品を目指して開発を続けています。

今後の構想と展望

医薬品事業 学術交流の場を主催

新薬を待つ患者の皆様の期待に応えるべく、帝人ファーマは企業の枠を超えて医薬品開発を加速させるために、積極的に学術交流を支援しています。一例として、帝人ファーマは医療現場の研究者間の学術交流の場として「Bone Biology Forum」を主催。海外の骨代謝(こつたいしゃ)領域におけるノーベル賞クラスの研究者を招聘するなど、国内外において骨・関節系領域の医薬品研究における最前線の一端を担っています。

在宅医療事業 より優れた在宅治療を目指す

帝人ファーマの在宅医療事業における技術研究や開発は、在宅で使用される医療機器の機能・性能の向上だけではありません。あらゆる角度から在宅医療の効果や安全性を高めるための取り組みをおこなっています。すでに、家庭で測ったピークフロー(最大呼気流量)のデータを医療機関に送信して喘息治療を支援する喘息テレメディスン(遠隔医療)システムを実現。さらに患者の皆様宅と医療機関を近づけるための機器・システム開発に挑んでいます。

CPAP(シーパップ)の導入と展開

近年、様々な疾患を誘発する症状として注目を集める睡眠時無呼吸症候群(SAS(サス))。帝人ファーマは、その治療器であるCPAP(シーパップ)装置をオーストラリアの企業から導入しています。実際には共同開発に近く、独自に日本市場のニーズを踏まえた機能の追加や改良を施しています。また、CPAP(シーパップ)には脳疾患や心不全の患者の皆様に見られる異常呼吸への改善効果も認められ、帝人ファーマはドクターとの研究会などを通して、この領域への展開を進めています。

CPAP

TMX-67開発秘話

新規痛風治療薬TMX-67は、この領域では世界で約40年ぶりとなる新薬です。既存の治療薬が副作用で使えず、他に手立てがなく困っている患者の皆様がいるという医療現場の声に応えるため、帝人ファーマは、従来にない新しい構造の尿酸産生抑制薬(にょうさんさんせいよくせいやく)の創薬に挑戦し、その開発に成功しました。TMX-67は、標的となる酵素分子にぴったりと結合し、選択的で強力な作用を発揮します。
これまで副作用や腎機能低下により既存治療薬が使えなかった患者の皆様だけでなく、広く痛風・高尿酸血症の患者の皆様においてその有用性が示されています。

研究について

製品開発状況

2011年9月現在

開発品 適応症 開発状況
TMX-67 痛風・高尿酸血症 2011年1月21日承認取得
BTR-15K 気管支喘息(小児) 2011年1月21日承認取得
TV-02H 尋常性乾癬 2010年9月20日低濃度製剤に対する補充申請(中国)
GTH-42V 骨粗しょう症(こつそしょうしょう) 2011年2月15日承認申請
GTH-42J 骨粗しょう症(こつそしょうしょう) 2011年8月18日承認申請
ベニロン® 多発性硬化症 PH Ⅲ
ITM-014 先端巨大症 PH Ⅲ
ITM-077 Ⅱ型(にがた)糖尿病 PH Ⅱ
NTC-801 心房細動・粗動 PH Ⅱ
ベニロン® 顕微鏡的多発血管炎 PH Ⅱ
ITM-058 骨粗しょう症(こつそしょうしょう) PH Ⅰ

EBMとコクラン共同計画

EBMとは、エビデンス(科学的根拠)に基づく医療を示す言葉です。1990年代後半より、世界各国においてこの考え方が重要視されるようになり、その理念を推進する国際プロジェクトとして稼働しているのが、コクラン共同計画です。世界各国に15のコクランセンターがあり多くの研究員・医療関係者が活動しています。帝人ファーマは、日本におけるコクラン共同計画と、その活動を支持しています。

今後の展開

帝人ファーマでは高い技術開発力を活かし、心不全などの代謝・循環器系領域をはじめとして、睡眠時無呼吸症候群やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器系領域への挑戦を続けています。これは、在宅事業の中心であるHOT(ホット)事業やCPAP(シーパップ)事業と、呼吸器系医薬品事業を相乗的に結びつけることが重要であるという判断によるもので、医療現場と患者の皆様へ、医薬品と医療機器のトータルヘルスケアを提供していきます。

研究開発における実験動物福祉への配慮

人々のQuality of lifeに寄与する医薬品を開発する過程で、開発する薬剤の安全性や有効性を検証するため、実験動物を用いた試験研究が必要不可欠であると考えています。ただし、このような試験研究を行う場合には、実験動物福祉の国際的な原則である3Rs(代替試験法の積極的な採用:Replacement、動物数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)に最大限配慮しています。

具体的には、「動物の愛護および管理に関する法律」および「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」やその他の関連法令、ガイドラインに従って、動物実験に関する社内規程を定めています。また、動物実験委員会を設置し、社内で実施される全ての動物実験、社外の機関に委託して実施される全ての動物実験について、実験内容の適正性を事前に審査し、承認された実験のみを実施するよう定めています。実験担当者や飼育担当者には、定期的な教育・訓練を行なうとともに、実験動物技術者の資格取得、関連学会等への参加などを積極的に推進し、動物の取扱いに対する倫理的配慮を深めるよう努力しています。さらには、社内の実験の実施状況について、年1回、自己点検・評価を行い、動物実験が常に適正に実施されていることを確認しています。