帝人ファーマとグレンマーク社とのライセンス契約について

2005年4月26日

帝人ファーマ株式会社
グレンマーク社

 帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大八木 成男、帝人(株)の100%子会社)とインドのグレンマーク社(*)は、このたびグレンマーク社の有するPDE4阻害剤GRC3886の日本における開発・販売についてライセンス契約を締結しました。

* このたびの帝人ファーマのライセンス契約先は、Glenmark Pharmaceuticals S.A. (本社:スイス、社長:グレン・サルダンハ)で、グループ本社であるGlenmark Pharmaceuticals Ltd.(本社:インド・ムンバイ、代表者:代表取締役 兼 CEO グレン・サルダンハ)の100%子会社です。

 帝人ファーマが日本における独占的開発・販売権を取得したGRC3886は、グレンマーク社が創製した経口投与可能な新規PDE4阻害剤で、現在、海外においてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)ならびに喘息の治療薬として開発が進められており、その他、関節リウマチ等の炎症性疾患への有用性も示唆されています。
NICE試験(2001年に日本で実施されたCOPD疫学調査)によると、日本でCOPDに罹患している潜在患者は530万人存在することが報告されており、また、喘息の患者数は日本で200万人と言われています。現在COPDおよび喘息治療薬の日本における市場規模は約2,000億円ですが、今後COPDの診断や治療が進むことにより、その市場規模は急速に拡大することが予想されます。
こうした中でPDE4阻害剤は、原因となる炎症をステロイドとは異なるメカニズムで抑えることにより、COPDおよび喘息の新しい治療法として位置付けられることが期待されています。

 GRC3886は、COPDおよび喘息に関する前臨床試験において、本化合物がターゲットとする酵素であるPDE4(フォスフォジエステラーゼ-4)を、より選択的に阻害する薬剤として高い可能性が見出されました。
フェーズ1試験は、クインタイルズ社(世界的な医薬品開発受託機関)が英国において実施し、最近終了したところです。このフェーズ1試験において、 GRC3886は健常人に対して高い安全性(高い忍容性)や優れた薬物動態を有することが示唆されました。すなわちGRC3886は、本試験の最高服用量においても嘔吐が見られず、また心血管系への作用も見られませんでした。さらにGRC3886は血液中で有効な濃度を維持する時間が長く(長い血中半減期)、実際に患者に使用される際には1日1回投与が可能であることも示唆されています。

 GRC3886の関連特許に関しては、グレンマーク社が米国特許出願、PCT(Patent Cooperation Treaty:特許協力条約)特許出願を含めたグローバルな特許ポートフォリオ戦略を打ち出しており、米国並びに日本を含む世界中の戦略上重要な地域に出願されています。

 今回の契約により、帝人ファーマはGRC3886に関して、日本におけるあらゆる適応症についての独占的開発・販売権を獲得し、その対価として、グレンマーク社に契約締結の一時金、開発・販売の進捗に応じた一定額を支払うこととなります。マイルストーンが全て達成された場合の支払い総額は53百万USドルです。
さらにGRC3886の上市後には、ランニング・ロイヤリティーと原薬の供給について、帝人ファーマが製品正味販売額に応じて一定割合の対価を支払います。

 すでにグレンマーク社は、2004年9月に北米市場において同様の契約を米フォレスト社(Forest Labs)と締結しています。グレンマーク社は、北米と日本を除いた全ての市場についてGRC3886の権利を有しており、現在、欧州での事業提携に関して協議を進めているところです。

【グレンマーク社のコメント】グレン・サルダンハ 社長

「帝人ファーマとの提携は、日米欧各地域において高いプレゼンスを持つ企業と提携するという我が社の戦略に合致しています。日本市場について、帝人ファーマのように優れた開発・販売力を持った企業と提携できることに大変満足しています。」

【帝人ファーマのコメント】大八木 成男 社長

「我々は、GRC3886の前臨床試験・フェーズ1試験の結果を高く評価しており、この化合物により、COPDおよび喘息の治療において新たに重要な進展がもたらされるものと期待しています。本薬が承認されれば、帝人ファーマが多くの蓄積を持つこの領域において、優れた製品特性により一層の貢献ができるものと考えています。」

以上

当件に関するお問合せ先

帝人株式会社 広報・IR室

(東京)宇佐美・西島
TEL: 03-3506-4055 FAX: 03-3506-4150

(大阪)大木・杉本
TEL: 06-6268-2763 FAX: 06-6268-3010

【参考】COPD(慢性閉塞性肺疾患)と喘息について

COPDとは

COPDとは、慢性気管支炎や肺気腫などの肺疾患を含む不可逆性の呼吸器疾患であり、200万人の喘息患者とは別に、潜在的に530万人余りの日本人がCOPDに罹患していると言われています。しかし、初期段階での発見が困難なことから、COPDはなかなか診断されずに未治療のままであることが多いのが現状です。COPDの主因として、長期の喫煙が指摘されています。

COPDの薬物療法について

気管支拡張薬、抗コリン薬がCOPDに広く使用されていますが、問題となる炎症を抑えることはできません。フォスフォジエステラーゼ-4(PDE4)阻害剤は新しい分類の薬剤であり、COPDおよび喘息、その他の病態における効果について研究が進められています。
PDE4阻害剤が新しい分類の薬剤として興味深い点は、炎症細胞の活性化を抑制するだけでなく、気道平滑筋を弛緩させる(気管支を拡張させる)ことにあります。このことにより、短時間での症状緩和と、病気の進行コントロールの両方が可能となります。

喘息とは

喘息は、炎症を伴った気道疾患です。先進国・発展途上国を問わず最もよく見られる慢性肺疾患であり、200万人余りの日本人が罹患していると言われています。喘息罹患率の上昇とそれに伴う医療保険負担の上昇は著しく、将来も増え続けると考えられています。喘息は、子供が学校を欠席する原因の一つであり、コントロールされないまま放置しておくことで、生活の質に大きな影響をもたらします。

喘息の薬物療法について

現在、喘息治療には主に2種類の薬物が使用されます。吸入ステロイドやロイコトリエン受容体拮抗薬といった「コントローラー(長期管理薬)」は、喘息の予防と治療を目的に長期に使用され、短時間作用型β作動薬といった「リリーバー(発作治療薬)」は、気管収縮を治療する目的で短期に使用されます。しかしながら、喘息病変の特徴である炎症を抑えることができ、かつ安全性の高い新規薬剤が依然として強く要望されています。

【参考】会社概要

帝人ファーマ株式会社 概要
設立 2002年4月15日
本社所在地 東京都千代田区内幸町2-1-1
資本金 100億円
代表者 代表取締役社長 大八木 成 男
従業員数 約1,600名(2005年3月末現在)
事業内容 帝人グループ医薬医療事業の中核会社として、医薬品・医療機器の研究開発・製造・販売を展開。重点3領域である呼吸器・骨関節・循環代謝領域に注力している。呼吸器領域では、医薬品事業に加え、No.1のシェアを有する在宅酸素療法(HOT)事業を持つことにより、研究開発・販売での高いプレゼンスを確立。現在、自社品開発のみならず導入戦略によりCOPDおよび喘息領域でのパイプラインの拡充に注力している。医薬・在宅医療の両事業によるシナジーを通じ、トータル・ヘルスケアの提供を追求している。
Glenmark Pharmaceuticals Ltd.(グループ本社)概要
設立 1977年
所在地 801-813,  Mahalaxmi Chambers, 22, Bhulabhai Desai Road, Mumbai - 400 026, INDIA
代表者 代表取締役 兼 CEO グレン・サルダンハ
従業員数 約2,000名(2005年2月現在)
事業内容 グローバルに事業展開している研究志向の製薬会社。後発品製剤、原薬事業は米欧を含めた世界65カ国で展開しており、その製品は、皮膚科、内科、小児科、婦人科、耳鼻咽喉科および泌尿器科(糖尿病)等に及ぶ。新規化合物に関する最新の研究を展開し、炎症疾患(喘息・COPDなど)、代謝性疾患(糖尿病・肥満など)をターゲットとした化合物を探索。昨年、北米市場に関してGRC3886(喘息・COPD)を米フォレスト社に導出したことを発表し、最も大きなインド発のディールとして注目を集めた。この他、2型糖尿病をターゲットとした他の化合物を後期前臨床段階で保有している。