01 Keyword Osteoporosis

骨粗鬆症への着目骨粗鬆症への着目 骨粗鬆症への着目

帝人ファーマの骨・関節領域への取り組みは、骨粗鬆症治療剤の創薬から始まりました。骨がスカスカになって折れやすくなる骨粗鬆症は、加齢や閉経にともなう女性ホルモンの減少などが主な原因と考えられ、患者数は推計で約1,280万人にのぼるといわれています。高齢者の場合、骨折からの歩行困難によって要介護状態になりやすく、健康年齢(健康上の問題なく日常生活ができる期間)を延ばすためにも、予防と治療は欠かせません。

今でこそ憂慮される病気ですが、帝人ファーマがこの創薬に着手した1980年代は病気に対する社会の認知度はまだ低く、骨粗鬆症に適応を持つ薬剤はおろか、開発の手法も確立されていませんでした。しかし、高齢化社会の到来とともに患者数の増加が見込まれることから、開発チームは「治療に貢献したい」という想いでスタートをきったのです。
※「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」より

02 Keyword Diagnosis

診断方法の開発 診断方法の開発 診断方法の開発

当時、帝人ファーマは腎不全の患者さん向けに活性型ビタミンD3製剤の創薬に取り組んでいました。この製剤にはカルシウムの吸収と骨代謝を促す効果も期待できたことから、骨粗鬆症の治療にも役立てられないかと考えました。骨粗鬆症の一因である加齢によるカルシウムの吸収低下を抑える可能性を見出したのです。

しかし、当時は病気の診断も容易ではありません。骨量を測定する医療機器が高額のため普及しておらず、脊椎のレントゲン写真をもとに経験豊富な整形外科医が判定しているような状況でした。まずは客観的に病気を評価する診断方法の開発から着手する必要がありました。

幸い、帝人グループはフィルム事業を手がけていたことから、フィルムの濃淡を定量化する技術をベースに「Microdensitometry法(MD法)」が発案されました。これは手の骨をアルミニウムステップと一緒にX線撮影すると表れる、写真の影の濃度から骨量を測る簡便な方法です。この手法によって、繊維事業の主力である三原工場のスタッフにも協力を仰ぎ、骨粗鬆症の判別に必要な健康な人のデータを大規模に収集することができました。そしてついに活性型ビタミンD3が骨量を増やすことを明らかにしました。グループ全体でつかみ取った、骨・関節領域への貴重な一歩でした。

03 Keyword Options
治療選択肢の拡充
治療選択肢の拡充
治療選択肢の拡充

やがて1981年に自社開発した活性型ビタミンD3製剤を、2001年には骨の破壊を防ぐ骨粗鬆症治療剤を海外企業とクロスライセンスする形で導入・発売。その後も、患者さんの負担を減らすことでより積極的に治療に参加してもらえるよう、剤形の選択肢を広げて服用回数や飲みやすさなどを改善しています。

自分の思い通りに手足が動かせる、歩けるといった運動機能はQuality of Life (QOL)にとって重要な要素です。骨粗鬆症対策を皮切りに、変形性膝関節症の疼痛緩和剤や骨折治療器の発売など、骨・関節領域におけるQOL向上の取り組みは現在も続いています。

04 Keyword Challenge

骨・関節領域へのさらなる挑戦 骨・関節領域へのさらなる挑戦 骨・関節領域へのさらなる挑戦

グループ独自の素材技術とヘルスケア技術を融合させ、帝人ファーマが30年以上にわたり築き上げてきた骨・関節領域。今後もグループのシナジーをフルに生かし、その発展にいっそう力を尽くしていきます。関節リウマチなどによって機能不全に陥った関節をサポートする人工関節、主に骨折の治療に使用される生体吸収性骨接合剤、脊椎内固定器具など、すでに新たなプロジェクトへの挑戦が次々と始まっています。

高齢化が進む社会で、人々の健やかな暮らしに貢献したい。これからもQOLの向上を追求し、帝人ファーマは骨・関節領域における優れたソリューションの提供に注力していきます。