01 Keyword Health insurance

健康保険の適用へ 健康保険の適用へ 健康保険の適用へ

在宅酸素療法事業がスタートして3年後の1985年、ついに在宅酸素療法に健康保険が適用となります。患者さんにとっては「待ちに待った」ニュースでした。というのも82年頃から結核の後遺症に苦しむ患者さんが中心となって患者会を組織し、当時の厚生省へ陳情をくりかえしていたからです。名古屋を皮切りに、全国各地の40を超える患者団体が声をあげました。もちろん帝人グループをはじめ医療機器業界もバックアップしたことはいうまでもありません。こうした動きに報道関係者も注目し、関連番組が83年に名古屋で、84年には全国に放送されました。テレビが社会問題としてクローズアップした反響は大きく、全国放送の2週間後には衆議院予算委員会で在宅酸素療法の保険適用について質疑が行われています。医療界でも同年に日本胸部疾患学会が在宅酸素療法の実施に関する指針をまとめ、厚生省に意見書を提出しました。当事者からの強い要望を受け、その年末には厚生省も動き出します。医療費の削減につながる在宅酸素療法は行政にとっても望ましく、翌春には朗報が届いたのです。

02 Keyword Network

全国に広がる安心のネットワーク 全国に広がる安心のネットワーク 全国に広がる安心のネットワーク

健康保険が適用されると、在宅酸素療法はまたたくまに普及しました。それに伴って帝人は1993年から全国に販社を設立します。地域密着型の24時間体制と専任担当者による一貫フォロー体制など、全国どこでも同じ機器、同じサービスシステムを実現すべく、地域採用による全国ネットワークを構築したのです。
故郷に貢献できるとあって、帝人グループからもさまざまな分野から約100人が集まりました。医療現場は初めてながら、平均年齢48歳のいずれもベテラン揃い。患者さんと年齢が近く、同郷ということもあって会話が弾んだそうです。
99年秋には大阪に訪問看護ステーション第1号を開設し、その後半年ほどで福島、東京、神奈川、名古屋、広島、福岡の計7か所に展開。主治医の療養指導内容に基づいて自社の看護師が患者さんを支援し、より安心で快適な在宅療養を継続していただける体制を整えました。
現在ではHOTコールセンターで24時間365日、医療機関や患者さんからのお問い合わせ、緊急を要するご依頼に応えています。

03 Keyword Watch
患者さんを見守るために
患者さんを見守るために
患者さんを見守るために

1991年からは人的支援だけでなく、酸素濃縮装置モニタリングシステム「HOT見守り番」を用いて機器を遠隔監視しています。酸素濃縮装置の運転情報を帝人サーバへ自動送信させ、異常発生の可能性をいち早く検知してトラブルを未然に防ぎます。一人暮らしや高齢の方、耳の不自由な患者さんも安心してお使いいただけます。当初は公衆電話回線を利用していましたが、2010年より携帯電話通信式を導入し、よりスピーディかつ低コストで設置できるようになりました。
また地震情報を自動受信して被災地域の患者さんを特定する災害対応支援システム「D-MAP」を09年より運用しています。「平成28年(2016年)熊本地震」においても震度5弱以上のエリアに在住の患者さんをリストアップして対応を開始。震度7を記録した4月14日、16日ともに約24時間でほぼ全員の安否確認を完了しました。また「在宅医療地震災害対策マニュアル」に従い、東京本社に「災害支援本部」、熊本営業所に「災害対策本部」を迅速に立ち上げ、災害対応に全力を尽くしました。

04 Keyword Improvement

より小さく、使いやすく より小さく、使いやすく より小さく、使いやすく

さまざまなサービスを軌道にのせるかたわら、新たな酸素濃縮装置の開発も1999年から始めています。患者さん発想からの開発を行うため、営業・企画関連の部署も参加して、患者さんの生の声をおうかがいするところからプロジェクトをスタートさせました。
とくにご要望が多かったのは「小型化」「低騒音化」「使いやすさ」です。
小型化は騒音対策との両輪でした。主な騒音源である空気圧縮用コンプレッサーは、音と熱を同時に発生します。排熱しやすいと音が漏れ、音を抑えると熱がこもりやすいといったジレンマを抱えていました。そこで排熱の冷却流路を見直して騒音を低減。内部装置を静音化したことで、吸音のために木材製だった外装ケースを樹脂によるデザインに替え、従来比3割減までコンパクトに。業界最小レベルを実現しました。
「使いやすさ」のために、患者さんが吸入される酸素そのものにも目を向けました。濃縮酸素は湿度が低く、不快な乾燥感を和らげようとボトルに水を入れて加湿しました。しかしこの水は1日程度でなくなり、患者さんに給水などの負担が生じます。これを解決するべく、2003年に特殊な水分透過膜を使って空気中の水蒸気を吸入酸素に加湿する機能を業界で初めて搭載しました。
さらに2008年には携帯用の酸素濃縮装置も上市して患者さんの活動範囲を広げています。在宅酸素療法の患者さん一人ひとりの命を守り、生活の質を高めることを使命に、これからも帝人ファーマの歩みはとまりません。