01 Keyword Oxygen
酸素が足りない!
酸素が足りない!
酸素が足りない!

慢性呼吸器不全などの疾患を抱え、「在宅酸素療法(HOT)」を利用する方が全国に15万人以上います。在宅酸素療法とは、酸素濃縮装置などを使って自宅で酸素を吸入する治療法。これによって入院生活から解放され、症状が改善されることで外出なども可能になり、生活の質が向上します。

ところが電気を使用するため、災害などで停電になると酸素濃縮装置は止まってしまいます。そのような場合は酸素ボンベに切り換えるのですが、外出時の携帯性を重視して小型になっており、長時間は持ちません。2011年3月11日、それまでの経験をはるかに上回る事態が発生しました。東日本大震災。酸素濃縮装置のレンタル事業を開始して30年目の試練でした。

02 Keyword D-MAP
25,000人を把握したD-MAP
25,000人を把握したD-MAP
25,000人を把握したD-MAP

テイジンは在宅酸素事業の創業当初から「24時間365日対応」を標榜し、緊急時・災害時の体制を整えてきました。さらに阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震などの経験をふまえてさまざまな災害対策を進化させています。そのひとつが「D-MAP」と呼ばれる災害対応支援システムです。災害発生時、真っ先に着手するのが在宅患者さんの安否確認です。D-MAPは一定の震度以上の大きな地震が発生すると、その情報を自動受信して被災地域の在宅患者さんを特定し、社員のパソコンや携帯電話に被災範囲をメールで知らせます。東日本大震災の時も地震発生から10分後には約25,000人の患者さんがリストアップされました。同時にたちあがった東京本社の災害支援本部ではその一人ひとりに、電話による安否確認をいち早く開始しました。

03 Keyword Concern
被災地を走らせた命への想い
被災地を走らせた命への想い
被災地を走らせた命への想い

「一刻も早く患者さんへ酸素ボンベを!」現地のスタッフはあせっていました。安否確認とともに重要なのが必要な物資の供給です。被災地では道路や通信網は寸断され、事務所や社員宅も被災。沿岸の事務所と酸素ボンベの充填所は津波で浸水し、備蓄していた酸素ボンベも多数流されてしまい思うようには動けません。日ごろから酸素濃縮装置のメンテナンスや定期点検は、地域の担当者が一軒ずつ患者さん宅を訪問して行います。それだけに、胸に浮かぶのはいつもの患者さんや、そのご家族の顔、顔、顔……。「この目で無事を確認し、必要な酸素ボンベをお渡ししなければ」。その一心で、酸素の供給と併行して電話がつながらないお宅へ安否確認に急ぎました。ある者は避難所で聞き込みを行い、ある者は医療ガス会社へ酸素ボンベを求めて走りました。大小の余震が続く中、できうる限りの対応を続けたのです。

患者さん宅へボンベ配送

04 Keyword Support
グループ一丸となって支援
グループ一丸となって支援
グループ一丸となって支援

そんな彼らを支えるべく、グループ各社は全国からの応援要員と物資を被災直後から約5ヵ月間にわたって送り続けました。2万本近くの酸素ボンベと600台を超える酸素濃縮装置などを緊急投入。応援要員の志願者は後を絶ちませんでした。電話がつながりにくくなった被災地営業所への入電は、コールセンターへの自動転送に切り替え、24時間体制で対応し続けました。計画停電においては、予定地域の患者さんへ東京のスタッフが夜を徹して周知連絡を行い、まさにテイジンの組織力をフル稼働させてこの難局に挑んだのです。

しかし、まだ問題は山積していました。連絡がとれなかったり、避難所で暮らす患者さんのケアをどうするか—?

救援活動を支援する社員達

仙台に到着した酸素ボンベ

05 Keyword Cooperation
医療機関との連携
医療機関との連携
医療機関との連携

避難した患者さんの多くは病院や公共施設に身を寄せていました。そこで震災から5日目には、津波で甚大な被害を受けた沿岸地域の中核病院に50台の酸素濃縮装置を置き、臨時の「HOTステーション」開設に協力。さらに避難先となった主な医療機関を中心に、100台を超える酸素濃縮装置を設置しました。これらはふだん帝人ファーマの装置をお使いの患者さんに限らず、酸素を必要とされる皆さまにご活用いただきました。

安否確認も進展をみせます。患者さんからの連絡もあり、震災の2週間後に98.8%、3月末には99.8%まで把握することができました。

地域の中核病院に臨時HOTステーション開設

 

06 Keyword Reassure
患者さんのさらなる安心のために
患者さんのさらなる安心のために
患者さんのさらなる安心のために

震災の爪痕が残る中、今も各地で災害が発生しています。帝人ファーマでは災害の経験を糧として、その都度、対応策を新たにしています。「在宅医療地震対策マニュアル」の改定や、D-MAPの改良、酸素ボンベの備蓄量を増やすほか、患者さんからの連絡を受けるコールセンターを福岡と大阪の2拠点に広げました。通信を確保するために、全支店に衛星電話を、全営業所にバッテリー付き電話機と電源不要電話機も設置しています。

その一方で、これだけ大規模な災害になると、現地では病院や酸素業者、道路や交通網まですべてが被災してしまいます。とくに直後は想定した動きがとれないことが大きな教訓として残りました。やはり日頃からの備え、関係先の連携が重要です。患者さんにも災害の際にパニックにならないよう、ボンベの操作方法や非常時の連絡先などを改めてご確認いただくよう、パンフレットなどを通じて繰り返し呼びかけています。

帝人ファーマはこれからも安心してご利用いただける「備え」の拡充に努めます。