2020年6月29日
A型ボツリヌス毒素製剤の製造販売承認を取得
帝人ファーマ株式会社
Merz Pharma GmbH & Co.KGaA
帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:渡辺 一郎)は、Merz Pharma GmbH & Co.KGaA(本社:ドイツ フランクフルト、社長:Philip Burchard、以下「メルツ社」)より日本における共同開発・独占販売権を取得したA型ボツリヌス毒素製剤「ゼオマイン®筋注用 50単位、100単位、200単位」(一般名:インコボツリヌストキシンA)について、本日、厚生労働省より「上肢痙縮」を効能・効果として製造販売承認を取得しました。
1.背景・経緯
(1)これまで帝人ファーマは、筋・骨格系疾患の患者さんのQOL(Quality of Life)向上に貢献するため、さまざまな医薬品・医療機器によりソリューションを提供してきました。
(2)上肢痙縮は、主に脳卒中の後遺症として、上肢の筋緊張の増加や伸張反射の興奮性亢進により生じる上位運動ニューロン症候群の1つです。主な症状は、運動麻痺、屈筋反射亢進、病的反射出現、知覚障害などで、患者さんの日常生活における動作の妨げとなります。
(3)上肢痙縮の治療としては、リハビリテーション、経口筋弛緩剤、A型ボツリヌス毒素製剤療法を含む神経ブロック療法などがあり、中でもA型ボツリヌス毒素注射は「脳卒中治療ガイドライン2015」で、痙縮に対する治療法として推奨グレードAとされています。
(4)本剤は、2017年に帝人ファーマがメルツ社から日本国内での共同開発・独占販売権を取得し、上肢痙縮の新たな治療選択肢を目指して開発を進めてきました。そして、メルツ社が日本国内で実施した第Ⅲ相試験の結果に基づき、2019年8月に帝人ファーマが製造販売承認の申請を行い、このたび承認を取得しました。
(5)なお、本剤は既に世界70ヵ国以上で、メルツ社が上肢痙縮、痙性斜頸、眼瞼痙攣、顔面上部の皺または流涎症を適応症として販売しています。
2.「ゼオマイン®筋注用 50単位、100単位、200単位」について
(1)A型ボツリヌス毒素注射剤である「ゼオマイン®筋注用 50単位、100単位、200単位」は、末梢のコリン作動性神経終末に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することで随意筋の筋力を弱め、筋緊張状態を緩和します。
(2)本剤の特徴は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)により産生されるA型ボツリヌス毒素から、メルツ社が開発した精製技術で複合タンパク質を取り除くことにより、神経毒素のみを有効成分としていることです。これにより、中和抗体が産生されることによる効果減弱の可能性の低下が期待されています。
(3)メルツ社が実施した国内での第Ⅲ相試験では、手関節の屈曲のMAS(Modified Ashworth Scale)スコアに有意な改善が認められました。
製品の概要
販 売 名 | 「ゼオマイン®筋注用 50単位」 「ゼオマイン®筋注用 100単位」 「ゼオマイン®筋注用 200単位」 |
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一 般 名 | インコボツリヌストキシンA |
剤 形 | 注射剤(バイアル) |
効能・効果 | 上肢痙縮 |
用法・用量 | 通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注)に合計400 単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。 |
※「ゼオマイン®」はメルツ社の登録商標です。
3.今後の展開
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて「少子高齢化・健康志向」へのソリューションを提供していくこととしており、新薬の上市はその柱の1つです。帝人ファーマは、今後もアンメットニーズの高い疾患に対して新たな治療選択肢を提供することで、患者さんのQOL向上に貢献していきます。
メルツ社は、患者さんのお役に立てるよう常に最善を尽くしており、帝人ファーマとともに、日本における本剤の上市に向けて邁進してきました。今後も当社は、上肢痙縮の患者さんが本剤によってそれぞれの治療目標を達成し、毎日を快適に過ごせるよう、健康な生活に貢献していきます。
当件に関するお問合せ先
【報道関係】
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03)3506-4055
【その他】
帝人ファーマ株式会社 メディカル情報グループ TEL:(0120)189-315