監修
田村 好史 先生(順天堂大学国際教養学部国際教養学科 グローバルヘルスサービス領域 教授)
筧 佐織 先生(順天堂大学大学院 医学研究科 スポートロジーセンター 特任助教)
糖尿病のある人にとって、体を動かすことは、食事に気を配ることと同じように大切です。
日々の生活で簡単に取り入れられる運動を紹介します。
「運動をするように言われたけれど、どうしたらいいのだろう」。運動療法をはじめる時に、こんなふうに考える方もいるかもしれません。2型糖尿病のある人が定期的に体を動かすと、血糖の状態が改善されます。また、運動をすることでストレスが減って生活の質(QOL)が良くなる、血圧や脂質の状態が良くなる、心血管疾患リスクが低下する、筋力が高まる、認知機能の衰えを防ぐ、などたくさんのメリットがあります。
運動には、心肺機能を高める有酸素運動と、筋力を高めるレジスタンス運動、いわゆる“筋トレ”があり、両方を行うことで血糖の状態がさらに良くなります。
運動は難しく考える必要はありません。実は日々の生活で行っている動作の延長で取り入れることができるのです。まずは体を動かすことを楽しんではじめてみませんか。
運動といえば、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をイメージされる方が多いかもしれません。有酸素運動もとても重要ですが、レジスタンス運動(筋トレ)にもたくさんのメリットがあります。
筋トレをすると、基礎代謝(安静時の最低限の代謝)の増加や関節への負荷軽減につながることが知られています。
また、糖尿病のある人では、糖の利用が増えてインスリンの効きが良くなり血糖状態が改善します。筋肉が増えると、高齢になった時に転倒しにくくなり、心臓病などのリスク低下も期待できます。
筋トレでは、太ももやお尻、お腹、胸など大きな筋肉を中心にきたえます。また、筋肉を増やすには、食事でたんぱく質を摂ることがとても大切です。
筋トレといっても、気負う必要はありません。「いつもより早いスピードで歩こう」「階段を使ってみよう」というふうに、日々行っている動きの延長からはじめ、できる人は、しっかり筋力をきたえるプラスアルファの動きを取り入れると良いですね。
皆さんは1日の中で座っている時間が何時間あるかご存知ですか?座っている状態は「不活動」と呼ばれ、この時間が長いほど糖尿病や高血圧、脂質異常症のリスク、そして死亡するリスクが高まるため、「不活動」の時間を減らすことが大切です。
掃除機をかけたり、洗濯物を干したりといった日常生活で行う動作を「生活活動」、スポーツやフィットネスなどの意図的な活動を「運動」、この2つを合わせたものを「身体活動」といいます。不活動の時間を減らすには、生活活動または運動の時間を増やすことが必要です。まずは気軽に生活活動を増やすことからはじめてみませんか?
生活活動を増やすために特別な準備はいりません。30分に1度は立ち上がる、テレビをみながら腕を振るなど、今よりも「プラス10分」体を多く動かしてみましょう。
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