研究開発
研究開発
患者さん、社会のためになることを第一に、医薬品と在宅医療という2つのアプローチで疾患に挑む。ユニークな視点が、帝人ファーマならではのソリューションを創出します。
多様な “知” が集う研究所(東京研究センター/生物医学総合研究所)
東京都日野市に位置する帝人の東京研究センターには、帝人ファーマ生物医学総合研究所、帝人(株)のヘルスケア関連新事業、および2024年4月に発足した帝人(株)・アクセリード株式会社の合弁会社Axcelead Tokyo West Partners株式会社(ATWP)の研究施設が集積しており、自由闊達な風土と多様性が研究開発力を高めています。
帝人ファーマの生物医学総合研究所では、これまで培ってきた創薬研究と医療技術研究をもとに、新たなヘルスケアソリューションの創出を目指した研究活動を行っています。創薬はDry研究機能(AI含む計算機科学も活用した新規テーマ設定と推進機能)をコア機能として保持し、Wet研究機能(合成、薬理、動態、安全性評価)の多くはATWPを始めとする研究支援機関に外部委託する形で研究を推進します。同じ敷地内には帝人(株)の再生医療・埋込医療機器や機能性食品の研究開発を進める部門もあり、フォーマル/インフォーマルな組織間の情報と知見の共有により様々な分野の専門家が互いに触発し合う環境が整っています。
また、当研究所では研究者の自由な発想を尊重する文化が根付いており、ボトムアップでの研究テーマ提案が奨励されています。実際に、若手研究員の提案からスタートし、顕著な成果を挙げた事例もあります。
研究所は自然に恵まれた東京都多摩エリアの日野市に位置しており、豊かな緑に囲まれた環境と都心からのアクセスの良さを併せ持っています。研究者たちからは、仕事とプライベートの両立が図れることで生まれる自由な発想が、研究の革新に繋がっているとの声が多く聞かれ、研究開発におけるイノベーションを促進する肥沃な土壌となっています。
創薬エコシステムを活用した新たな研究開発体制
帝人ファーマの研究開発は比較的小規模ながら、「創薬エコシステム」を活用した効率的な創薬研究・開発推進により、国内外の患者様のQOL向上に貢献していきます。
新薬候補の枯渇、モダリティの多様化、研究開発費の高騰といった医薬品産業が直面する複雑な課題に対応するため、帝人ファーマは、「創薬エコシステム」を活用した新たな研究開発モデルの確立を進めています。親会社である帝人株式会社や国内外の創薬CRO(Contract Research Organization)、アカデミア、ベンチャー企業、及び国内外の中堅・大手製薬企業との協力を基にし、創薬研究開発の効率化と迅速化を目指し、早期に革新的な医薬品を市場に提供することを目標にしています。
これまでも、自社創製の痛風・高尿酸血症治療薬であるフェブキソスタットの海外企業への導出、帝人(株)との連携による合成心血管パッチ「シンフォリウム」の研究開発、日・米・中・仏の創薬研究機関との提携、欧米製薬企業からの製品・開発品導入や、反対に複数の自社創製研究プログラムの大手・中堅海外製薬企業への導出など、様々なパートナーとの研究開発を推進してきました。
また、2024年4月、帝人(株)はアクセリード株式会社との共同出資により、Axcelead Tokyo West Partners株式会社(ATWP)を設立しました。この新会社は、帝人ファーマから移管する創薬研究の一部機能と経営資源、アクセリードの創薬支援事業の専門知識を活かして、創薬研究活動支援サービスを提供する事業を展開します。日本のみならず世界の創薬エコシステムを支えるプラットフォームとして世界中の人々のQOL向上に貢献していくことを期待しています。
帝人ファーマは、ATWPを含む創薬プラットフォーム、創薬エコシステムを活用しながら、革新的な医薬品の創出を目指します。
医薬研究開発におけるライセンス/アライアンス
帝人ファーマは自社研究から生まれたソリューションを世界のより多くの患者様に届けるため、積極的に海外企業へのライセンス供与(導出)を行ってきました。創薬研究段階での導出にも力を入れており、複数のアセットを海外大手・中堅企業に導出しています。また、新たな創薬技術や研究開発の加速を求めて、国内外の研究機関・企業との共同研究も積極的に推進しています。
国内では海外との市場・規制環境の相違を背景に、ドラッグラグ・ドラッグロスが問題となっています。帝人ファーマはこれまで培ってきた事業基盤の活用が可能な希少疾患・難病領域等の製品を海外から獲得(導入)することにも力を入れています。海外からのライセンス製品は、日本で再び臨床試験を行い、日本市場に合ったかたちで製品化する必要があります。これまでの国内における研究開発の実績が高く評価され、多くのアライアンスにつながっています。
製品 | 会社名 |
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アトロベント® | Boehringer Ingelheim |
ボナロン® | Organon |
オルベスコ® | Covis |
ムコソルバン® ラキソベロン® |
Sanofi |
ソマチュリン® | Ipsen |
オスタバロ® | Ipsen/Radius |
ゼオマイン® | Merz |
レブコビ® | Unikeris |
TransCon GH*,TransCon PTH*, TransCon CNP* | Ascendis |
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開発中
自宅でも「安心と安全」の医療を ~在宅医療機器・サービスの開発~
帝人ファーマは医薬品事業と在宅医療事業で培った事業基盤をもとに、自宅でも病院と同じ「安心と安全」の医療の提供を目指しています。
帝人ファーマの主力事業の一つである在宅酸素療法(HOT)で使用する酸素濃縮装置は、元々は帝人のマテリアル事業の基礎研究に端を発し、医薬事業で開発・事業化に至った製品です。一旦事業化した後も、高度な医療機器を自宅で快適に、安心してお使いいただくため、省エネ・高信頼性プロセス制御技術、低騒音・低振動設計技術、ユーザビリティ設計技術を開発し、これらの技術を装置開発に取り入れています。
研究所では医療技術・エンジニアリングの知見を活用した新規のヘルスケアソリューションの創出に向けた研究開発も進めています。機器開発に加えて、在宅で行われている医療の状況をモニタリングするシステム開発・実装や異常事態対応等のサービスを含め、患者様に寄り添った医療を実現します。
帝人ファーマは海外の先進的な医療機器を常にウォッチし、国内において未充足ニーズの高い在宅医療機器の導入を行っています。在宅医療におけるトッププロバイダーとしてこれまで培ったノウハウ・知見を活かして、国内市場に見合った形で製品を提供しています。
在宅医療機器の国内市場への導入
製品 | 会社名 |
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セーフス® | Bioventus |
NIPネーザル® スリープメイト® AirCurve |
ResMed |
ドリームステーション® | Philips Rspironics |
Nox A1 システム | Nox Medical |
ニューロスター® | Neuronetics |
研究開発における実験動物福祉への配慮
人々のQuality of Lifeに寄与する医薬品を開発する過程で、開発する薬剤の安全性や有効性を検証するため、実験動物を用いた試験研究が必要不可欠です。ただし、このような試験研究を行う場合には、実験動物福祉の国際的な原則である3Rs(代替試験法の積極的な採用:Replacement、動物数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)に最大限配慮しています。
具体的には、「動物の愛護および管理に関する法律」および「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」やその他の関連法令、ガイドラインに従って動物実験に関する社内規程を定め、関係する社員を対象に年1回の教育を行うことにより周知しています。また、動物実験委員会を設置し、社内の動物実験施設で実施されるすべての動物実験、社外の機関に委託して実施されるすべての動物実験について、実験内容の適正性を事前に審査し、承認された実験のみを実施するよう定めています。動物実験委員会では、情報セキュリティに配慮し、委員には守秘義務を持たせています。また、研究所内の実験の実施状況について、年1回、自己点検・評価を行い、動物実験が常に適正に実施されていることを確認しています。
以上のような当社の取り組みについて、厚生労働省の指針に基づいて動物実験を適正に実施していることが評価され、一般財団法人日本医薬情報センター 動物実験実施施設認証センターによる認証を取得しています。
公的研究費の運営・管理体制
帝人ファーマは、文部科学省、厚生労働省および経済産業省が制定した「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」あるいは「公的研究費の不正な使用等の対応に関する指針」に基づき、「公的研究費の適正管理に関する規程」を定め、以下の体制のもと、配分された公的研究費を適切に運用・管理しています。
運営・管理体制
最高管理責任者 | 代表取締役社長 |
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統括管理責任者 | 研究開発技術統括部門長 |
副統括管理責任者 | 生物医学総合研究所長、在宅医療企画技術部門長 |
コンプライアンス推進責任者 | 創薬研究所長、トランスレーショナルサイエンス部長、医薬生産技術部長、在宅医療事業創造部長、在宅医療開発技術部長、医療機器製品開発部長 |