2016年11月4日

上肢麻痺のリハビリロボットを上市

帝人ファーマ株式会社

帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:宇野 洋)は、脳卒中などによる上肢麻痺のリハビリテーション(以下、リハビリ)を目的とした、「上肢用ロボット型運動訓練装置ReoGo®-J」(以下、「ReoGo®-J」)を11月7日に上市します。 「ReoGo®-J」は、3次元の動きで上肢訓練を行うことができる、世界的にも数少ないリハビリロボットです。

背景

  1. 厚生労働省の発表によると、脳血管疾患で継続的に治療を受けている患者数は国内で約120万人(*1)、新たに発症する患者数は毎年約30万人と推定されており、その半数以上が上下肢の麻痺など、何らかの後遺障害に悩まされています(*2)。また、脳卒中だけでなく、交通事故などに起因する脊髄損傷や外傷性脳損傷の後遺障害としても、上下肢に麻痺が残ることが少なからずあります。そして、これらの後遺障害が、介護が必要となる最大の原因とされています(*3)。
    • (*1)
      厚生労働省「平成26年患者調査の概況」
    • (*2)
      秋田県脳卒中医の会「秋田の脳卒中」
    • (*3)
      一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 Web page

  2. これまでは、脳卒中などで上下肢の機能に関わる脳の部位が損傷すると、その部位が司る機能が失われてしまうという認識が一般的でしたが、近年の脳に関する研究で、麻痺している側に対するリハビリを実施し、脳に適切な刺激を繰り返し与えることにより、損傷部位周辺に新たな神経回路が形成され、失われた機能が徐々に回復してくることがわかってきており、入院中に行われるリハビリにおいて、麻痺している側の機能回復を目的とした訓練の重要性が認識され始めています。
  3. 当社はこうした背景を踏まえ、発展戦略の一環として、麻痺している側のリハビリを補助する先進的な医療機器の導入・開発に取り組んできました。そして、2013年4月には、そうした取り組みの1つとして、下肢麻痺患者の歩行補助・歩行改善を目的とした歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド®」を上市しています。

「ReoGo®-J」について

「ReoGo®-J」は、イスラエルのベンチャー企業が開発した機器「ReoGo®」を、当社が日本向けに改良したもので、麻痺している上肢をアームに載せ、モニターに表示される目標点に向けてアームを軌道に沿って動かすことで、麻痺している上肢の関節癒着や拘縮の予防、関節可動域の改善などを図るリハビリロボットです。

  1. 麻痺状態に合わせたリハビリが可能
    放射状や円状など軌道の異なる17種類のアームの動きと、介助度の異なる5種類のモード、および負荷や速度を組み合わせにより設定することが可能です。さらにはアームの動きを3次元で設定できるため、療法士によるリハビリと同様に、患者さんの麻痺状態に合わせた適切なリハビリが可能です。
  2. 上肢機能が有意に改善
    近年の脳研究では、患者さん自らの意志で麻痺した腕を動かすことは、脳の上肢機能に関わる部位への刺激が増加して脳の機能回復が促進され、上肢の運動機能改善が期待できるとされています。「ReoGo®-J」は、患者さん自らの意志でアームを動かす設定が可能であるため、同様の改善効果を期待することができます。「ReoGo®」の臨床研究においては、患者さんによる自主訓練を「ReoGo®」を使った訓練に置き換えた場合に、上肢の運動機能を評価する指標の変化量が2.5倍に増加したという研究成果も発表されています(*4)。
    • (*4)
      Takahashi K, et al: Stroke 2016; 47 (5): 1385-1388)

  3. 療法士の身体的負担を軽減
    療法士が患者さんの身体を支えてリハビリを行う代わりに、「ReoGo®-J」を使ってリハビリを行うことにより、療法士の身体的負担を軽減することが期待できます。

「ReoGo®-J」

モニターに示される様々なアームの動き

「ReoGo®-J」の使用イメージ

「ReoGo®-J」の使用イメージ

今後の展望

  1. 「ウォークエイド®」の展開で培ったネットワークを活かし、大学病院やリハビリ施設を中心に「ReoGo®-J」の販売・リースに注力することで、今後3年間で300台、10年間で3,000台の達成を目指します(いずれも累計値)。また、退院後にリハビリを継続する機会が限られているという社会的背景を踏まえ、将来的には在宅でのリハビリへの展開も視野に入れています。
  2. 今後も、帝人ファーマは、麻痺側のリハビリや退院後のリハビリ継続といった医療ニーズを踏まえ、今後も先進的なリハビリ機器のラインナップ拡充や在宅リハビリサービスの開発などを図ります。

当件に関するお問合せ先

【報道関係のお問合せ先】
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03)3506-4055
【その他のお問合せ先】
帝人ファーマ株式会社 新医療機器推進班 TEL:(0120)113-687