2017年10月16日

うつ病治療の新たな選択肢 磁気刺激治療装置の国内独占販売契約を締結

帝人ファーマ株式会社

帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:鍋島 昭久)は、このたび、米国の医療機器メーカーであるNeuronetics,Inc.(本社:米国ペンシルバニア州、以下「ニューロネティクス社」)より、うつ病の治療装置である「NeuroStar TMS治療装置」(以下、「NeuroStar®」)の日本における独占販売権を取得しました。

背景・経緯

  1. うつ病は、患者さん本人や家族に対する社会的・経済的な損失が大きいだけでなく、自殺との関連性が高いとされている非常に治療意義が大きい疾患です。
  2. 厚生労働省の患者調査等によると、国内のうつ病患者数は、受診者で約73万人、未受診の潜在患者まで含めると約250万人以上とされています。また、そのおよそ3割が通常の抗うつ剤では症状が改善されにくいうつ病であると言われています。
  3. 抗うつ剤治療では効果が不十分なうつ病に対しては、主に作用機序の異なる薬剤を併用する「増強療法」や、頭部に電流を流す「電気けいれん療法」などが用いられますが、これらの治療法は有効性が高い反面、副作用のリスクが少なくないことから、より安全性の高い治療法のニーズが高まっています。

「NeuroStar®」について

  1. 「NeuroStar®」は、ニューロネティクス社が開発したrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)装置で、2008年に米国でうつ病治療機器として初めてFDAの承認を受けて以来、約10年に及ぶ治療実績があります。
  2. 日本においても、2017年9月に国内で初めて成人のうつ病患者(既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められない場合に限る)に対するrTMS治療装置として、厚生労働大臣による承認を取得しています。
  3. 本装置は、頭部に当てた磁気コイルから非侵襲的に「左背外側前頭前野」に磁気刺激を与えます。この刺激が脳内に電流を誘導し、神経伝達物質の放出を促す(*1)ことで脳内を活性化させ、うつ症状の軽減や消失をもたらすことが期待されています(*2)。
    • (*1)
      出典:Post, A and Keck, ME(2001). J Psychiatr Res
    • (*2)
      出典:Kito, S, Fujita,K, and Koga, Y (2008). Neuropsychobiology
  4. また、本装置の主な副作用として治療部位の不快感や頭痛などがありますが、抗うつ薬に見られるような全身的な副作用が発生しにくいことから、副作用により治療継続が困難な患者さんにとっても新たな選択肢となることが期待されます。
  5. 今後の展開

    1. 帝人ファーマは、2018年度中に医療機関に向けた「NeuroStar®」の販売開始を目指します。
    2. 帝人グループは、将来に向けた発展戦略の1つとして、ヘルスケア事業領域における製品・サービスのラインナップ多様化を掲げています。今後は、うつ病をはじめとするアンメットメディカルニーズの高い脳神経疾患領域において、患者さんのQOL(Quality of Life)向上にさらに貢献していきたいと考えています。
    3. NeuroStar TMS 治療装置

      当件に関するお問合せ先

      【報道関係のお問合せ先】<br/>
      帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 (03)3506-4055<br/>
      【その他のお問合せ先】<br/>
      帝人ファーマ株式会社 脳神経事業推進班 (03)3506-4275