2020年12月25日

「ソマチュリン皮下注」が効能・効果の追加承認を取得

帝人ファーマ株式会社

 帝人ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:渡辺 一郎)は、仏・Ipsen S.A.(本社:フランス・パリ、以下「イプセン社」)から導入している先端巨大症および下垂体性巨人症、膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン皮下注60mg、90mg、120mg」(一般名:ランレオチド酢酸塩)について、本日、厚生労働省より、「甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍」の効能又は効果の追加承認を取得しました。

1.甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍について

  1. 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍(Thyroid-stimulating hormone-secreting pituitary adenoma、以下「TSH産生下垂体腫瘍」)は、脳の下垂体にできる良性の腫瘍の一種で、この腫瘍により甲状腺刺激ホルモン(TSH)が過剰に分泌されることで、甲状腺ホルモンが増加する疾患です。
  2. TSH産生下垂体腫瘍の症状としては、甲状腺ホルモンの増加により起こる動悸、頻脈、多汗、体重減少などや、大きくなった腫瘍自体が下垂体の周囲を圧迫することで起こる頭痛、視力の低下、視野障害などがあり、日常生活や労働に著しい影響を与えます。
  3. TSH産生下垂体腫瘍は、日本国内の患者数が135名(*1)ほどの希少疾患です。難治性疾患克服研究事業、特定疾患治療研究事業において指定難病の「下垂体性TSH分泌亢進症」(指定難病73)に分類されており、医療費の公費負担の対象となっています。
    (*1) 平成30年度厚生労働省衛生行政報告例による特定医療費(指定難病)受給者証所持者数より。

2.背景・経緯

  1. TSH産生下垂体腫瘍の治療としては、腫瘍切除術が第一選択とされていますが、手術が困難な場合や、手術後に腫瘍が残った場合には薬物治療や放射線治療が必要となります。また、手術前には甲状腺ホルモンの増加を抑えることも必要とされています。
  2. 欧州ではTSH産生下垂体腫瘍の薬物治療として、ソマトスタチンアナログ(*2)製剤の使用が推奨されていますが、日本国内にはTSH産生下垂体腫瘍の適応症を持つ医薬品がありませんでした。
    (*2) 内分泌ホルモンの分泌抑制効果をもつソマトスタチンの類似化合物
  3. こうした中、本剤を対象とするTSH産生下垂体腫瘍の適応取得の開発要望が各学会(*3)から厚生労働省に提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において「医療上の必要性が高い」として開発要請を受けたことから、当社では本適応症を取得するための開発を行ってきました。
    (*3) 2013年に日本間脳下垂体腫瘍学会、2014年に日本内分泌学会、日本神経内分泌学会が提出。
  4. このたびの効能又は効果の追加承認取得により、「ソマチュリン皮下注60mg、90mg、120mg」は、TSH産生下垂体腫瘍の適応症を持つ日本で初めての医薬品となりました。なお、「ソマチュリン皮下注」と同じランレオチド酢酸塩を主薬とする製剤は、英国、仏国を含む30の国と地域において、TSH産生下垂体腫瘍に対する適応が承認されています。

3.今後の展開

 帝人ファーマは、今後も新規創薬研究のみならず、適応拡大にも注力し、希少疾病を含むアンメットニーズの高い疾患に新たな治療選択肢を提供することで、患者さんのQOL(Quality of Life)向上に貢献していきます。

【製品概要】

販 売 名 ソマチュリン皮下注60mg
ソマチュリン皮下注90mg
ソマチュリン皮下注120mg
一 般 名 ランレオチド酢酸塩
剤   形 徐放性注射剤(針付きプレフィルドシリンジ製剤)
今回承認された効能・効果 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍
今回承認された用法・用量 通常、成人にはランレオチドとして90mgを4週毎に3ヵ月間、深部皮下に注射する。
その後は患者の病態に応じて60mg、90mg又は120mgを4週毎に投与する。

 ※「ソマチュリン」はイプセン社(本社:フランス・パリ、Euronext: IPN、ADR: IPSEY)の登録商標です。

お問合せ先

【当件に関するお問合せ先】
 帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03)3506-4055
【その他のお問合せ先 】
 帝人ファーマ株式会社 メディカル情報グループ TEL:(0120)189-315