01 Keyword Acromegaly

先端巨大症とは?先端巨大症とは? 先端巨大症とは?

先端巨大症は、額、鼻やあご、手足など体の先端が肥大する病気です。成長期に罹患すると高身長や手足の異常な成長が見られ、下垂体性巨人症と診断されます。どちらも脳の奥にある下垂体という小さな器官に良性の腫瘍ができ、成長ホルモンを過剰に分泌することで起こります。頭痛がする、視野が狭まる、昼間の眠気が強い、両手の指先がしびれるといった症状を引き起こし、生活の質が大きく低下します。さらに放っておくと、糖尿病、高血圧症、高脂血症などを合併。心筋梗塞や脳血管障害などのリスクが高まり、一般の健康な人に比べ、平均寿命が約10年短くなると報告されています。現在、厚生労働省が指定する難病の一つです。 治療は、手術によって下垂体にできた腫瘍を取り除く方法が一般的です。手術が難しい場合や、手術後に良好な経過が得られないときは、薬を使って病態をコントロールできる可能性があります。帝人ファーマはフランスの製薬大手イプセン社と提携し、注射剤「ソマチュリン」を上市して、この薬物療法に貢献しています。

02 Keyword Peptide

ペプチドの力を医薬に ペプチドの力を医薬に ペプチドの力を医薬に

「ソマチュリン」は成長ホルモンの分泌を抑制するペプチドホルモンをベースに、アミノ酸の個数と種類を変えて生体内での安定性を高めています。血中の有効成分濃度を長時間一定に保つことができ、4週毎の投与で済みます。

カギとなるペプチドとは、複数のアミノ酸が結びついたものです。生理活性物質としてがんや糖尿病、感染症など幅広い疾患の治療に役立ちます。これを応用したペプチド医薬品は、一般的に低コストで、狙った患部に限定的に作用することから、「次世代の創薬」と世界中で研究され、発展を続けています。帝人ファーマもまた、大きな可能性に着目しました。最先端の製剤を模索する中でイプセン社の卓越したペプチド医薬創製技術を知り、その技術が結実した「ソマチュリン」と出会います。ホルモン分泌疾患はそれまで扱ったことのない未知の分野でしたが、導入へ向けて果敢にチャレンジを始めました。

03 Keyword Confirmation
承認国での情報収集
承認国での情報収集
承認国での情報収集

まず自社での知見を増やそうと、帝人ファーマのスタッフは足繁くヨーロッパへ通いました。関連学会で積極的な情報収集を行い、医師・企業にインタビュ-を依頼しました。長期にわたり効果が持続すること。投与時の煩雑な薬剤調製が不要なこと。投与法もシンプルなこと。注射後の針刺し事故も防げること。当時フランス、イギリスを含む欧州数カ国で販売されていた「ソマチュリン」の有効性・安全性をつぶさに確認しました。その頃日本では、先端巨大症の治療選択肢は限られていました。成長ホルモンの分泌を抑制するペプチド医薬品はわずか1種類。状況の改善は取り組むべき重要な課題と考えられました。

幸い、帝人ファーマは高尿酸血症治療剤や骨粗しょう症治療剤の開発によって代謝領域への実績があります。代謝内分泌科や脳神経外科といった診療科とのリレーションも築いていました。これらの優位性も加味しながら検討に検討を重ね、2003年に正式にイプセン社とライセンス契約を締結します。そして約10年の臨床試験を経て、13年1月に上市。新たな治療選択肢を提供することとなったのです。

04 Keyword Information

早期治療へつなぐ情報サイト 早期治療へつなぐ情報サイト 早期治療へつなぐ情報サイト

先端巨大症は様々な合併症を併発する重篤な疾患で、指定難病として医療費が公費助成されることなどは、まだまだ知られていません。「最近、手や足が大きくなったと感じる」「顔つきが変わったと人に言われる」。こうした違和感に人知れず悩む方もいらっしゃるでしょう。そこで先端巨大症の早期診断・早期治療につなげ、病気への不安を取り除こうと、患者さんおよび一般の方向けの先端巨大症情報サイト「先端巨大症ねっと」を開設しました。外見の変化を動画で紹介するほか、必要な検査や治療法、医療費助成制度などを患者さんの目線でわかりやすくガイドしています。米国の患者さんのサポートグループが発刊したエッセイ集「ALONE IN MY UNIVERSE(独りぼっちの私~先端巨大症との戦い)」の貴重な日本語訳も公開中です。

医療関係の方には、治療をはじめ、患者さんの精神面や日常生活のサポートをテーマにした情報サイト「先端巨大症ナビ」にて情報提供を行っています。併せて「ソマチュリン」による治療を受ける患者さん向けのハンドブックを用意し、医療現場でのスムーズなコミュニケーションをサポートしています。

05 Keyword Effects

新しい効能・効果の取得へ 新しい効能・効果の取得へ 新しい効能・効果の取得へ

海外では神経内分泌細胞に発生する悪性腫瘍に対し、「ソマチュリン」が腫瘍増殖抑制効果を持つことも確認されています。神経内分泌腫瘍の罹患率は年々増加傾向にあり、全悪性腫瘍の1〜2%を占めるといわれています。帝人ファーマは、日本における新たな効能・効果取得のため改めて臨床試験を行い、2016年7月、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(医薬品などの承認審査、健康被害救済、安全対策を行う公的機関)へ効能・効果の追加申請を行いました。

未知の難病や重篤な疾患に対しても、最先端の製剤で治療の選択肢を広げていくこと。これも帝人ファーマの医薬品事業における重要な使命の一つだと考えています。