01 Keyword 創成期

始まりは社内ベンチャーから 始まりは社内ベンチャーから 始まりは社内ベンチャーから

帝人においてヘルスケア事業が産声をあげたのは1968年。「いざなぎ景気」と呼ばれる高度経済成長が続き、カラーテレビ・クーラー・自家用車が「新・三種の神器」といわれた時代です。日本で初めてレーヨンの商業生産を開始した帝人は、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維事業で躍進しており、さらに事業のグローバル化と多角化をめざして未来事業本部を発足させました。このとき初めて「医薬」が開発テーマに位置づけられ、現在の在宅酸素療法(HOT)につながる酸素富化膜の開発もスタートします。

とはいえ、帝人にとって医薬事業はまさにゼロからのチャレンジ。医薬品の研究開発や生産、販売はもちろん、行政への申請なども専門家にヒアリングしながらの手探りの状態でした。それでも担当チームは着実に課題を分析・解決し、73年には西ドイツ(当時)の ベーリンガー・インゲルハイム社と開発提携を結ぶことに成功します。これを機に研究開発が加速。翌年には医薬事業本部と生物医学研究所を発足させ、78年にはグループの主力工場がある岩国で製造所が稼働を開始。国内外の製薬企業とパートナーシップを築きながら医薬事業を軌道にのせていきます。


生物医学研究所(1973年当時)

02 Keyword ‘1980年

医薬品+在宅医療の両輪へ 医薬品+在宅医療の両輪へ 医薬品+在宅医療の両輪へ

2度のオイルショックを経ても医薬事業は順調でした。既存薬の後追いをせず、新たな市場を開拓することで帝人の特色と強みが鮮明になります。静注用人免疫グロブリン製剤、緩下剤、活性型ビタミンD3製剤、気管支拡張剤を次々と発売。そして1970年代から続く酸素富化膜研究がついに実を結び、慢性呼吸不全の患者さんに朗報が届きます。82年、帝人の在宅医療事業の嚆矢となった日本初となる医療用膜型酸素濃縮装置の上市です。

ここでも帝人は独自性を発揮します。装置の販売にとどまらず、HOTの普及・啓発活動や24時間365日体制のサービスを拡充させました。一貫して機器に責任を持つ直販体制や、患者さんの出費を抑えるレンタル方式、専任担当者制を敷き、公的保険適用にも尽力。患者さんが自宅で生活しながら医療を受けられ、経済的負担も少ない在宅酸素療法を普及させる契機となったのです。

こうして患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上をめざし、医薬品と在宅医療の2分野でトータルヘルスケアを提供するユニークな事業スタイルが構築されていきました。

03 Keyword ‘2000年
国境を越えた医療ソリューション
国境を越えた医療ソリューション
国境を越えた医療ソリューション

医療機関や患者さんとのネットワークができると、現場の声を丹念に拾い上げ、開発にフィードバックする流れも現れます。開発スタッフが海外に飛んで先進例をリサーチし、世界中の企業と積極的に提携することで、新薬や治療装置をいち早く臨床現場へ届けてきました。

2001年には骨粗鬆症治療剤を、13年には先端巨大症および下垂体性巨人症の治療剤を、いずれもクロスライセンス契約によって導入・発売。在宅医療でも睡眠時無呼吸症候群の治療法である持続陽圧呼吸療法(CPAP)装置を米国のレスメド社から導入するとともに、日本人に合わせたマスクを開発しています。これまであまり認知されてこなかった病に光をあて、治療への新たな道筋を拓くことで医療現場での信頼もより厚くなりました。

同時に、帝人の優れた創薬技術を海外へ提供することも可能に。自社開発の痛風・高尿酸血症治療剤は現在117の国と地域での展開を進めており、国境を越えて医療の発展に貢献しています。

こうした事業の発展に伴い、2003年10月に医薬医療事業グループが独立して「帝人ファーマ株式会社」が設立され、現在に至っています。

04 Keyword 未来へ

変革と挑戦で未来の社会を支える 変革と挑戦で未来の社会を支える 変革と挑戦で未来の社会を支える

今後も医薬品×在宅医療、ヘルスケア×マテリアル、ヘルスケア×ITなど、帝人グループのシナジーをフル活用したチャレンジで医療のよりよい未来を切り拓いていきます。すでに高機能素材とヘルスケアの融合に取り組み、研究開発拠点として製薬技術研究所において融合製剤棟の運用を始めています。止血・接着効果の高い外科手術用シート状接着剤の開発をスタートさせているほか、人工関節、生体吸収性骨接合材、脊椎内固定器具、次世代型補助人工心臓といった埋め込み型医療機器事業にも参入。整形外科や循環器へと活躍のフィールドを広げています。

一方、在宅医療の現場ではICTなどを活用した次代のサービスが進行中です。在宅医療コールセンターへのAI適用を進め、かかりつけ医や訪問看護師、薬剤師、介護福祉士らがリアルタイムで患者さんのバイタルデータを共有できる多職種連携情報共有システムを筆頭に、住まい・医療・介護・予防・生活支援が包括的に提供される「地域包括ケア」を推進しています。

あらゆる人々のQOL向上を願って。帝人が100年蓄積してきた技術と、変革と挑戦を恐れないベンチャーマインドを胸に、多様な医療ニーズに応えていきます。