01 Keyword Stroke

介護の主原因、脳卒中 介護の主原因、脳卒中 介護の主原因、脳卒中

近年、平均寿命が延びる※1一方、高齢の要介護者が増加しています。そのきっかけの多くが脳卒中(脳血管疾患)の発症です。いわゆる「寝たきり」とされる要介護5については主な原因の第1位に挙がっています※2

脳卒中とは、脳の血管にトラブルが発生する病気の総称です。原因によって、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」、「くも膜下出血」などに分類されます。血流が滞って脳細胞がダメージを受けることで手足の麻痺など重い障害が残る場合があります。現在、日本では65歳以上の入院患者さんのうち、脳卒中の治療を受けている人数が最も多く※3、世界的にも約8,000万人が発症しているといわれます※4。治療法の進歩によって死亡率は低下しているものの、高齢社会における健康寿命を考えるうえで大きな課題となっています。

※1厚生労働省「平成28年簡易生命表」より

※2厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」より

※3内閣府「平成29年版高齢社会白書」より

※4日本脳卒中協会 世界脳卒中デープレスリリース(2018年10月29日)より

02 Keyword Residual Effects

後遺障害に挑む 後遺障害に挑む 後遺障害に挑む

脳卒中の後遺症に対しては、早期から積極的にリハビリテーションを行うことが推奨されています。また脳卒中のほかにも難病の多発性硬化症や交通事故などに起因する脊髄損傷、外傷性脳損傷などの後遺障害によってリハビリを受ける患者さんは少なくありません。運動機能の維持は患者さんの生活の質(Quality of Life=QOL)にとって重要な要素です。帝人ファーマは1980年代から骨・関節領域に取り組んでおり、理学療法や作業療法などの現場の声を聞く中で、脳神経領域から接続する課題についても改善策を模索してきました。その結果、優れた医療機器を開発している海外企業とアライアンスを結び、日本向けに検討した上で、2013年に歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」、16年に上肢麻痺のリハビリを目的とした「上肢用ロボット型運動訓練装置ReoGo-J」を上市しました。

日本脳卒中学会 脳卒中合同ガイドライン委員会「脳卒中治療ガイドライン2015」より

03 Keyword Electrical Stimulation Therapy

機能的電気刺激療法への着目 機能的電気刺激療法への着目 機能的電気刺激療法への着目

「ウォークエイド」は脳卒中治療ガイドライン2015※1で推奨グレードB(行うよう勧められる)とされている機能的電気刺激療法(FES)の装置です。つま先が上がらない、足が内側に曲がってしまうといった歩行障害に対して、FESは電気刺激によって麻痺した筋肉を収縮させ、足を動かす力や歩行の改善につなげます。急性期の廃用性筋萎縮(安静状態が続いて筋肉が萎縮し、運動能力が低下する症状)の防止から、回復期・生活期における歩行時の負担軽減まで、リハビリテーションの各ステップに対応できる療法です。急性期の患者で、通常の理学療法にFESを加えることで歩行の改善に効果があり自宅退院率が向上したという報告※2もあり、患者さんの在宅復帰に貢献しています。

※1日本脳卒中学会 脳卒中合同ガイドライン委員会「脳卒中治療ガイドライン2015」より

※2Yan T, Hui-Chan CW, Li LS: Stroke 2005; 36:80-85

04 Keyword Support

運動機能回復を多角的に支援 運動機能回復を多角的に支援 運動機能回復を多角的に支援

「ReoGo-J」は、コンピュータ技術とロボット工学を応用し、上肢麻痺の患者さんの状態に合わせた運動訓練を可能にしました。肩などの関節癒着や拘縮の予防、関節可動域の改善が期待されています。

これまでは脳卒中などで脳が損傷すると、その部位が司る運動機能が失われてしまうと考えられてきました。しかし今日ではリハビリテーションによる適切な刺激が機能回復に重要な役割を果たすことがわかっています。こうした重要性をふまえ、帝人ファーマはリハビリ機器のラインナップ拡充や、レンタルシステムなど在宅医療への展開も視野に入れています。同時に、患者さんの自己負担を軽減できるよう、健康保険の適用や障害者自立支援法に基づく補装具支給制度といった公費負担の推進にも積極的に取り組んでいます。

日常生活動作を回復してQOLを維持し、健康寿命をより長く。帝人ファーマの先進的な取り組みは続きます。

Nudo et al: Science Vol. 272, 21 June 1996; 1791-1794