01 Keyword Ecosystem

創薬エコシステムとは? 信頼性保証とは 創薬エコシステムとは?

これまでの創薬は、基礎研究から臨床試験、製造、上市まで、全てのバリューチェーンをひとつの製薬会社の中で行う「垂直統合型」が主流でした。しかし近年、特定のステージ・技術分野に強みを有する企業・研究機関と連携する「水平分業型」への転換が進んでいます。全て自前で揃えるよりも、研究開発のスピードアップやコストの削減といった効率化に有効なうえ、各分野のスペシャリストが参画することで成功確率の向上や競争優位性の獲得も期待できます。このように多様なプレイヤーが関与し、たえまない創薬イノベーションの創出を育む共創的な連携関係を「創薬エコシステム」といいます。

欧米では創薬に関わるさまざまなプレイヤーの連携を後押しする創薬エコシステムが形成されており、日本政府も2024年7月に「創薬エコシステムサミット」を開催して創薬スタートアップへの投資など複数の政策目標を掲げています。

創薬エコシステムが重視される背景のひとつとしては医薬品モダリティの多様化が挙げられます。医薬品モダリティとは、低分子化合物、抗体医薬、ペプチド薬、核酸医薬、細胞医薬、遺伝子治療、再生医療などの治療手段のことです。新しいモダリティへの挑戦には病気に対する薬の作用メカニズムに関する高度な専門知識や技術が求められるだけでなく、薬の安全性、製造、法規制・承認審査などにおいても不確実性が高まります。そのため、創薬ベンチャーやアカデミアに医薬品のたねになる化学物質や標的分子を求めたり、製造プロセス開発を製造受託企業に委託するなど、創薬エコシステム活用の重要性がより大きくなります。

また、医療ニーズが患者数の多い生活習慣病から各種がんや希少疾患にシフトしており、多様な原因や少数の患者さんに対して個別に適した薬が必要とされています。いずれも技術や設備、専門人材の獲得でも難度が高い課題です。創薬エコシステムが生み出すイノベーションは、こうした課題をクリアしながら、これまで治せなかった病気にも果敢にアプローチできる可能性を向上させているのです。

創薬エコシステムとは?
創薬エコシステムとは?

02 Keyword License

ベテラン揃いの専門集団 新薬候補化合物を世界へ導出 新薬候補化合物を世界へ導出

帝人ファーマは創薬エコシステムを活用したイノベーション推進の一環として、研究段階から世界の製薬企業とのアライアンスを推し進めています。

その一例が自社創生品の導出活動です。自社研究で見出した新しい治療薬の候補となる化合物を世界の大手製薬企業にライセンス供与し、供与を受けた製薬企業は臨床での効果と安全性について検証し、グローバルでの製品化を進めていきます。帝人ファーマは対価として、契約時の一時金に加えて、開発の進展に応じたマイルストーン金や、売上に応じたロイヤルティを受領します。自社から生まれた新薬の候補化合物を適切なパートナーに託すことで、より多くの患者さんに少しでも早く治療薬を届けることができると考えています。

近年では世界的な高齢化に伴って課題とされているアルツハイマー病の治療薬候補を導出しました。発症の原因とされているタンパク質の異常なリン酸化を抑える「抗リン酸化タウ抗体」をアメリカのメルク社に供与し、2022年より臨床試験がスタートしています。今後の進展に注目です。

2024年にはフランスのバイオプロジェ社に、睡眠障害の希少疾患であるナルコレプシーの治療薬候補を供与しました。睡眠と覚醒のサイクルをコントロールする神経伝達物質オレキシンの欠乏を補う化合物です。すでにナルコレプシー治療薬の開発・販売の実績を持つ同社の手を借りて、世界中の患者さんを支えたいと考えています。

新薬候補化合物を世界へ導出
新薬候補化合物を世界へ導出

03 Keyword New Value

研究資産を 創薬支援サービス事業に活用 帝人ファーマの薬事教育 研究資産を 創薬支援サービス事業に活用

さらに2023年には、創薬プレイヤーのパートナーとしてさまざまな創薬支援サービスを提供する新会社の設立を発表しました。

この新会社は帝人ファーマが保有していた人材・インフラ・研究データなどのリソースを活用。顧客と伴走しながらプロジェクトを進め、共にイノベーションの実現を目指します。

設立にあたってタッグを組んだのは、国内初の統合型創薬プラットフォームを有するアクセリード社。帝人ファーマから独立した合弁会社というかたちをとり、2024年4月に「Axcelead Tokyo West Partners株式会社」(Axcelead TWP)として出発しました。

アクセリード社の傘下には、世界レベルの創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partnersや、アジア太平洋地域初のGMP*¹に準拠したmRNAワクチンの統合型CDMO*²などがあり、国内外の製薬企業・創薬プレイヤーを支援してイノベーションを推進しています。Axcelead TWPの設立には、帝人ファーマが約 50 年にわたって培ってきた医薬品研究の深い知見や創薬技術とのシナジーによる新たな価値の創造が期待されたのです。

*1 GMP= Good Manufacturing Practice 医薬品の製造管理および品質管理の基準
*2 CDMO= Contract Development and Manufacturing Organization 医薬品の開発や製造を受託する機関・企業

研究資産を 創薬支援サービス事業に活用
研究資産を 創薬支援サービス事業に活用

04 Keyword Partners

多様なパートナーと共に 世界に向けたソリューションを 上市後も続くリスク管理 多様なパートナーと共に 世界に向けたソリューションを

Axcelead TWPは創薬のターゲット(薬が作用する標的タンパク質など)の選別から新薬候補化合物の取得まで、関連する合成・薬理・動態・安全性などの分野の創薬プラットフォームを活用・進化させることで、国内外の創薬プレイヤーに創薬支援サービスを提供していきます。

一方の帝人ファーマの創薬研究は、新規テーマの探索、初期的な検討実験、AIを含むコンピュータ科学を活用した化合物設計の機能などを引き続き保持し、自社独自の研究テーマを推進していきます。

両者は互いに独立した会社ですが、共に帝人の東京研究センター(東京都日野市)の敷地内で研究活動を進めています。今後も情報セキュリティには万全の対策を講じつつ、ヘルスケアの未解決課題に挑戦するパートナーとしてイノベーションを進めていきます。

このほかにも、帝人ファーマは国内のアカデミア・スタートアップ、中国や欧州の創薬ベンチャーとの共同研究など、オープンイノベーション活動を積極的に進めています。 「革新的な新薬をいち早く世界中の患者さんに提供したい」という志に共感していただける創薬プレイヤーと連携し、創薬エコシステムを活用しながら、世界中の患者さんのQOL向上に貢献するソリューションの創出を続けていきます。

多様なパートナーと共に 世界に向けたソリューションを
多様なパートナーと共に世界に向けたソリューションを

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 帝人ファーマ | 事業内容 | 研究開発 (teijin-pharma.co.jp)

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